右脳と読書と読解 その2

前回のブログで「実は右脳をあまり使っていない活字中毒の人」のことが書かれた記事を紹介しましたが、この記事自体は特に受験を念頭に置いて書かれたものではなく、普段何気なく我々が行っている「読書」という活動をより良いものにするためには?というテーマに対してヒントとなる提言がいくつかなされていました。

その記事の中で、「活字中毒の人たちは読書中にあまり右脳を使わないため、文字がすぐに左脳に入るのでどんな内容でもすらすらと読める割には読んだ内容があまり記憶に残っていない」という指摘がありました。

ここ、実はむちゃくちゃ重要な指摘だと私は思うのです。

この先生は「右脳を使って読書をすると、読んだ内容を映像化する習慣がつくので理解力や記憶力がアップする」と指摘されています。この文面だけ見てもあまりピンとこない受験生(or英語試験を受ける予定の人)もいるかもしれませんが、特に「記憶力がアップする」というのはどういうことかと言うと、読んだ内容が頭に定着するということですよね。これ、実はReadingの試験を攻略する際の大きなヒントをくれていると私は思うのです。

一般に入試の読解問題や、大学生であれば特にTOEICのReading Sectionを解いたことがある人は分かると思いますが、読解のテストとなると、どうしても時間との戦いになるため「速読」が強調されがちになるわけです。実際「速読英単語」なんていう単語帳も人気を博しているぐらいですから…。

一方で、(ネイティブ、ノンネイティブ問わず)英語講師の中でも「リーディングのスコアを上げるためには速読が必要なのではない」と指摘する人が多いのも事実です。そして私もこの意見に結構賛同するところがありまして、この記事を書かれた先生の言う通りであるとすれば、速読をすればするほどそれは左脳的な読書になりがちで、速度を追求する代償として理解力と記憶力が下がるリスクがあるわけです。すると入試本番でどういうことが起こるのか?

とりあえず時間に焦って速く読むため、パッセージ自体は他の受験生よりも速く読み終わるかもしれないのですが、その後、設問を解こうとした時に、特に内容一致に関する問題なんかであったりすると、一発で正解が出せず、設問と課題文を行ったり来たりという現象が起こるわけです。これ、結構思い当たる人、多いのではないでしょうか(^_^;)?スピードを出して読んだ割に、内容があまり頭に入っていないため、設問を見たあとに、また再度、いちど読んだはずの課題文を見直すという…。(簡単なテストで言うとセンター試験なんかでも結構これ「あるある」現象じゃないかなとも思うのですが。)

そうなると、一通り読むだけなら他の受験生よりも速かったかもしれませんが、トータルで問題を解くという最終地点までの時間を考えると、スピードという観点ではあまりアドバンテージが得られていないということが起こるわけです。これで正答率がダントツに高ければまだ良いのですが、実際それもふたを開けてみると、決して悪くは無いものの、かと言ってそこまで高くもないという状況が起こっていることも、またなんとなく共感してもらえる方、いらっしゃるんじゃないでしょうか(^_^;)?

一方で右脳を活性化させた読書をくせづけると、文字で入ってきた情報が頭の中で映像化、イメージ化されるため、記憶に残りやすいわけですね。そうすると読むスピード自体はさほど速くは無いものの、パッセージを読んだ後に設問を見た際、すぐに正答にたどり着ける可能性が高まるわけです。一言で言うと、設問と課題文の行ったり来たりのウロウロがなくなるということです。これでいくとトータルで問題を解き終える時間自体が意外に速かったりすることもあるのと、あと正当率が高まることが起こりえます。

実はこれ、大学入試ではまださほど実感しにくいかもしれませんが(現行の入試では読解問題の中に文法問題や語彙の問題を絡ませたりするものも多いため)、有名どころのテストでいうとTOEICのReading Sectionの最後に出てくるダブルパッセージやトリプルパッセージの問題を解く際にはこの読み方でないとおそらく満点は取れないのではないかとも個人的に思っているわけです。

ただ、実はこれも口で説明してもピンときてもらえないことが多いのも事実で、これがなかなかじれったいわけでもあるのですが…。