優等生タイプの子

従来の日本の学生には非常に顕著な傾向なのかもしれませんが、正解のないことにあまり興味が無いといいますか…

これを憂慮したのが文科省で、そういう意味でも今回の一連の教育改革のもともとのスタートはそこにあるわけです。要は学校でのお勉強は正解が初めからあって、それを短時間で導き出す訓練を受け、その解法を暗記し、そして試験ではそれを忠実に再現するという、このプロセスを今までのテストでは測ってきたわけですが、最近ではこの能力を学校でつけさせたからといって、社会に出て役立つことがあまりないんじゃないか?ということを経験的に皆肌で感じてきているわけです。

一歩社会に出ると答えがない、もう少し違う言い方をすると唯一の絶対解などというものが存在しないことの方が大半なわけで、そうした時に唯一の絶対解を与えられてそこまでの到達度を最短で導き出す練習ばかりしてきてると脳がフリーズするのでしょう。

まぁこういう話も最近はテレビなどでかなり言われていることなので、ことさら目新しい内容では無いのですが、実際に教育現場にいるとこれは本当に強く感じるわけです。すなわち絶対解のない問題をあまり解きたがらない生徒が多いような…。特に塾という環境においては…(^_^;)。更にこれは特に進学校の生徒に多いような気もするわけですが、これはまぁ私の独断と偏見かもしれませんのでまた考えが変わるかもしれません。

例えば最近は地方の国公立大学から徐々に変化が見られてきている英作文あるいはWritingのテストですが、一昔前のような「和文英訳」スタイルや「翻訳せよ」というスタイルではなくて、「これこれについてどう思うか?あなたの考えを述べよ」という形式が多くなってきてるわけです。

例えば

People attend school for many different reasons (for example, expanded knowledge, societal awareness, and enhanced interpersonal relationships). Why do you think people decide to go to school? Use specific reasons and examples to support your answer.

(人は色々な理由で学校に行きます(例えば、知識を増やしたり社会性を身に付けたり、他者との関係性を高めたり)。あなたは人が学校に行こうと思うのはどうしてだと思いますか?具体的な理由と例を挙げて自分の答えをサポートしなさい)

こういう問題を前にした時に、優等生タイプの子は少し困惑するわけです。そして「ここで言われている学校というのは中学校のことですか?それとも小学校のことですか?」みたいなことを即座に聞いてくるわけです。これに対する答えは「どっちでもいいよ」「なんでもいいよ」なのですが、こういう返答をすると彼らはますます困惑するわけです。

こういうお題は国際的な英語テストでもよく取り扱われる内容でして、実際にこのお題でWritingの課題に取り組む受験生というのは現実的な話として世界各国にちらばっているわけですするとそれぞれの地域における文化的背景やバックグラウンドは当然それぞれ全然異なるわけで、各国の受験生は自分の地域の内容であったり、あるいは世界的に共通することであればそれを使って持論を展開すれば良いだけの話なのですが、結論から言うと、そのことを無視していちいち小学校なのか中学なのかとその細かい条件を聞こうとする段階で、端から頭が完全に正解を求めに行ってるわけです。

あくまでもこの問いは「あなたならどう思いますか」という問いなので、そこに唯一絶対の正解などないわけですから自分の持論を述べてそれをサポートする理由や具体例をしっかりと書かないことには得点につながらないわけです。なので自分がこの設問を読んで小学校をイメージしたのであれば、その小学校という文脈で持論を展開すればいいだけの話で、それが仮に高校なのであれば高校の文脈設定を最初にしてしまえばあとは好きに書けば良いわけです。ただ、こういったことって、今までのものの考え方や習慣、思考のクセと密接に関わっているためになかなか一朝一夕では変わらないものなのかもしれません…(-_-;)そう思えば思うほど教育って大事ですよね…。