身体が反応する

高校入試の発音問題で

want と won't

この2つの単語の下線部の発音が同じなら◯、違うなら✕をつけよみたいな問題があるのですが、これ、高校入試で出題されるような問題ではあるのですが、意外と中高一貫で上がってきた生徒だと高3生でも普通に間違えることがあります(今回はこの発音・アクセントタイプの問題の是非はひとまず横においておきます)。

これ、正解は「✕」でして、あえてカタカナ発音で書くと

wantはウント

won'tはウオウント

となるわけです。

まぁ高校入試を経験した、ある一定以上の英語力を持つ真面目な高校生は、これを「知識」として知っていることが大半だと思います。つまりこのような「発音問題」としてペーパーテストで出題されると、確実に得点してくるわけですが、その一方で、そのような生徒でも含めて、リスニングテストとして音ベースで出題されるといきなりその理解度は怪しくなってくるわけです。

センター試験のリスニング放送文の中で「she won't be in Tokyo」というフレーズが出て来るのですが、このフレーズを「彼女は東京にいたい」すなわち「she wants to be in Tokyo」と解釈するケースが出てくるわけです。しかも、前後の放送文から、これを「she wants to be in Tokyo」と解釈することは「文脈上はありえる」わけです。

その際に、「因みにwantとwon'tって発音違うって知ってた?」と確認すると、結構な頻度で「知らない」という返事になることがあり、そうなると大概なケースで、このことを知った受験生は「耳だけでwantとwon'tの識別ができないといけないんですか!?」とパニクるわけですが、これはそもそもがそういう次元の話ではないわけです。

放送文を聞いている段階で、正しく理解できている生徒というのは「ウオウントかウォントか?」に意識を向けているわけではなく、「ウオウンビー」と聞いて「won't be」と理解しているわけです。そういう生徒にとって「ウオウンビー」と「ウォンツトゥビー」は明らかに発音が違うため、間違えようがないわけです。そしてここからが大切なのですが、放送を聞いてこの部分を誤解した生徒も「sheは3単現なのでwantではなくwantsが正しく」且つ「一般動詞wantsの後ろに原形のbeが来ることはなく、必ずto beにしないといけない」という文法知識は当たり前ですが、普通に100%完璧に理解しているわけです。ところが、いざこれが音声として一気に流れてくると、上記のような基礎的な文法知識が完全に吹っ飛ぶわけです。

すなわち、ここは「頭」ではなく「身体」が「ウオウンビー」にすぐに反応するのが本来の姿であり、

「wantとwon'tは発音が違うよ」

というような知識は何の屁のつっぱりにもならんわけです。ホント英語って勉強じゃなくて練習せんことには何にもならんって痛感させられる瞬間ですね…(-_-;)