エセ関西人

ネットのコラム記事に書かれてあったので、読まれた方もいらっしゃると思うのですが…

「エセ関西人の見分け方」というお題の後に「その靴、直しといて」と言われたら??

という問いかけだったので、てっきり私は関西人ならこの後どう返答するのか、その返答次第でホンモノとパチモン(これもバリバリ関西弁ですね)を見分けるのかなと思い、自分ならシンプルに「ええよ」と答えるかな〜と思いつつ、パチモンの関西人は「なんでやねん」などと言ってつっこんだりしてバレるというような話をするのかなと思っていたら、全くそういう話ではなく、パチモン関西人はこの依頼を「修理しておいて」と解釈するとのことで、改めてなるほどなあと思ったわけです。因みに余談ですが、「なんでやねん」というツッコミは「非」関西人が言うと間違いなく、そして瞬時に「エセ」とバレますよね・・・。あれもなまりの恐ろしい所ですね。すみません、脱線しました。話を戻します。

何が「なるほどなぁ」なのか?

それは私が最初「その靴、直しといて」と言われた時に「片付ける」以外の解釈が脳裏をかすめることもなかったという事実です。このあたり、ネイティブ(この場合は普通の日本人)からすると、こういう意味解釈を呼吸レベルでやるため、もちろん私も含めて母国語を話している限りなかなか気づきにくいところだなと思うわけですが、これって本当に外国語学習者泣かせなところでもあるわけです。特にこの場合、漢字も「直」すという漢字が当てられているため、なおさら日本語学習者の外国人からすると、真面目に勉強している人ほどこれが「片付ける」という意味で捉えるのは一発ではほぼ不可能かと思うわけです。

その一方で、恐らくではありますがネイティブ関西人であれば、冒頭の「これ直しといて」というフレーズを「片付けといて」の意味以外で解釈した人ってかなり少ないのではないかと思うわけです。

で、私も含めてなぜネイティブ関西人はそう思うのか?とあれこれ考えてみるわけですが、おそらく最初の「エセ関西人の見分け方」という文言で頭が関西弁モードになるのかなと。その後に「これ直しといて」というフレーズが来るわけです。因みにここは決して「これ直しておいて」ではないのです。そしてそこにはちゃんと「直」すという漢字が当てられているのを目では見ているものの、「直」すという漢字が本来持っている意味(修理する)には意識がいかず、自動的にこれを「片付ける」の意味に捉えてしまう。結局のところ、瞬時にこういう解釈をするのは関西人がこのフレーズを日常生活で頻繁に使っていることに加えて「片付ける」と「修理する」という2つの言葉を比べた際に、「片付ける」という言葉の方が日常生活での使用頻度が多いからというのが一番の原因なのかなと思うわけです。

つまり幼少時から「直しといて」を「片付けといて」の意味でずっと使ってきたため、実際に使用する際もいちいちその当てられた漢字の意味を深く考えることなくほぼ自動的に「片付ける」の意味で解釈するという。そういう意味で言うと、いわゆる従来の日本における英語教育で指導してきたような、文法学習を中心として標準語の日本語にたくさん触れてきた真面目な日本語学習者(そんなノンネイティブ・ジャパニーズがいるとすればの話ですが…)にとって、関西のお笑いは最高レベルの難易度の教材になるのだろうなと思うわけです。まずもって、理解不能でしょう。「だめ」とか「いけない」ではなく「アカン」、「だから」ではなく「せやさかい」、「どうしてなんだ!」ではなく「なんでやねん」、「怒るよ」ではなく「しばくで」etc...まぁ例を挙げるときりがありませんが。少なくとも、英語を学習している日本人が洋画を見るような感じで、日本語を学習中の外国人が「笑ってはいけない」をhuluとかで見たら、自分の日本語力のなさに落ち込むことは間違いないでしょう。

ただ、と言って、その関西のお笑いを聞いて日本語を勉強した外国人が、東京でその日本語を流暢に話すとこれはこれで相当浮くであろうこともこれまた想像に難くないわけで…(^^;)