渡英してまだ間もない頃、欧米人がSNSの投稿やメッセージ、あるいはちょっとした手紙の結びのところで名前の横にXXなる記号を書いているのに気づいたのですが、初めはそれが何を意味するのかわかりませんでした。
ただ、メッセージのやり取りをしている者同士の関係性やメッセージの内容、書き手の雰囲気から、決して日本語の「バツ=☓」のようなネガティブな性質を帯びた記号ではなく(あ、因みに日本ではペケの意味で使われるチェック「✓」ですが、これは欧米ではマルまたはGoodの意味で使われるので注意が必要です)、むしろ親愛の情を表す記号であることは薄々わかるわけです。
ただ、別段そのことが気になって勉強に手が付かないというレベルのものでもないわけで「なんやろ?」程度でスルーする日々が続いていたわけですが、そんなある日、長女がクラスメイトから手紙を貰ってきたのですが、その手紙の中にも、果たしてこのXXなる記号があったわけです。
そこで「これ何なん?」と娘に聞くと、「ああ、これキスキスやで」と・・・。
それを聞いて、私は、X(エックス)をフォニックス読みすると「クス」なので、XX(クスクス)にかけてキスキスと読ませるのか!?と妙に納得&感心した記憶があるのですが、どうもそれは私の勝手な思い込みで、単にXという文字が、向かい合った二人が口と口を突き合わせている絵柄に似ているためそれでキスと読ませるというのを知ったのは随分後のことであったわけです。
まぁ日本の文化において、SNSなどのやりとりで異性に向かって「キスキス」などと結ぶと思わぬ誤解&トラブルを招くであろうことは容易に想像がつくのですが、その後、子供のクラスメイトのお母さんから頂くメールなどでも普通に書かれていたりと、あちらでは基本挨拶レベルで異性・同性(ただし、男vs男ではあまりないとは思われますが…)問わず、重宝される挨拶記号のようであります。
ただ、こういう記号一つを取ってみても、欧米の、ある意味ドライな個人主義的な部分というのが感じられたりもするわけです。日本のように「みなまで言うな」とか「言われなくてもわかってよね」というのがあまり通じない文化でもあるかな、と個人的には思うわけです。なので、夫婦間であっても、また親子間であっても、会社に行く前や就寝前には「愛してるよ」とちゃんと口に出してキスしないといけないわけで、この辺りはなかなか大半の日本人にとって真似するのがツライ所かと思うのです・・・。
また、欧米人は結構な頻度で、久々に出会った時などにはハグをしますが、あれも日本でやるとやはり暑苦しく感じるのはそれだけ日本文化がドライではないという証拠なのかもしれませんね。実際気候もむこうに比べるとかなりウェットでありますし、地理的な要素もその地域の文化を醸成する大きな要素となっているのかもしれません。